- 本日は、よくある社内風景から。
- 企画書の難しさ
- まずは上司のイメージ「絵図」を作成しよう。
- こまめに上司の反応を確認しよう。
- 次に「下書き」してみよう。「下書き」とは、ボールをゴールに入れる作業―論理的に結論まで導く作業―のこと。
- 清書とは、フォントの整理やグラフ・写真を張り付けていくこと。
本日は、よくある社内風景から。
上司「こういうことがしたいんだが、企画書を作って欲しい。」
そんな、どこにでもある社内風景。
上司「細かいところは任せた。良きに計らえ。」
私「わかりました。」
ところが、いざ資料を作って持っていくと、何か違うと色々訂正が入ってしまいます。
私「細かいところは、任せるんじゃなかったんかい…!」
上司の意図が汲み取れず、思わず苦笑いになってしまう私。
企画書の難しさ
私も、20代の頃は上司の意志とは明後日の方角のものを―上司の意思とは全く異なるものを―たくさん作ってきました。
そして、それらは当然、やり直しになりました。
美しい提案書、洗練された企画書を作ろうとして、作ろうとした分だけ上司を困らせ、自分の時間を無駄にしていたような気がします。
- 別に1回の提出で済ませる必要はない。
- 別に完成品を持っていく必要はない。
そんなこともわからず、上司から、
「まだか。」
と声を書けられるまで書類を磨き上げ、いい仕事をしようという想いだけで、結局空回りしていたのだと気づいたのは、もうすぐ30歳になろうかという頃でした。
そんな前置きで始まる今日のテーマは提案書・企画書の「進め方」。
よくある、
- いい提案書の「書き方」
- いい企画書の「作り方」
とか、そういうものは、いったん横に置いておいて。
「進め方」を変えるだけで、「上司からの合格点」がずっと身近なものになるかもしれません。
まずは上司のイメージ「絵図」を作成しよう。
さて、「進め方」を変える、というと、何だか資料集めの方法に焦点を置いた話になりそうですが、全く違います。
私が最も重要だと重要だと感じているのは、上司との細かいキャッチボールです。
部下「イメージは、こんな感じですか?」
上司「ちょっと違うなあ。」
部下「じゃあ、こうですか?」
上司「そうですね、そんな感じでお願いします。」
ちょっと面倒ですが、このやり取り(コミュニケーション)が最も大事です。
では、どのようにしてこのやり取りを産み出していくか。
正直、上司というのは忙しいし、年齢の壁もあったりでなかなか話しづらいものです。
でも、今日は、そこをぐっと乗り越えましょう。
さて、上司がやってきました。
上司「こういうことをしたいんだが、企画書を作れるかい。」
部下「雛形(見本や前例)はありますか?」
上司「ないよ、細かいところは任せた。」
このとき、何故そんな話になったのか、状況を掴むこと、背景の確認を第一に考えましょう。
次に、忘れてはいけないのは期限です。
通常業務の合間に作成するのですから、時間配分を考える上でも、これだけはきちんと押さえておきましょう。
さて、上司から仕事を与えられた訳ですが、早速、何から取りかかるべきでしょうか。
- 資料集め?
- 現地確認?
もちろん、資料集めも現地確認も大事ですが、まずは落ち着いて。
上司の完成形のイメージと、あなたが思っている業務のゴールが、果たして一致しているのか確認する必要があります。
- もしかすると、上司は単純な結論を求めているかもしれない。
- もしかすると、上司は難しい話を簡単だと考えているかもしれない。
- もしかすると、細かい部分が重要になってくるかもしれない。
そこで、上司が描く完成形のイメージを絵図にしてみる必要があります。
その日のうちに、上司から受け取った完成形のイメージ図をA4サイズの紙1枚(片面)程度にまとめ、次の日には上司の机の上に置くようにしましょう。
単純な事ですが、部下が上司に渡すからと言って、何も「報告書」という体裁を整える必要はないわけです。
重要なのは、なるべく次の日にはボールを投げ返すこと。
早ければ早いほど雑なもので許されます。
即ち、「メモ」ですね。
A4くらいで準備するのがいいでしょう。
概論を一行、 状況を箇条書きにして、 どんなことに取り組む必要があるのか、簡単にまとめましょう。
注意点としては、余白を十分に作ることです。
- 箇条書きにするなら余白を1行から2行は開けておきましょう。
- 概論・状況・取組はそれぞれ3行以上開けておきましょう。
こまめに上司の反応を確認しよう。
さて、翌日、上司は机の上を見て、部下からすぐに反応があったことを喜ぶことでしょう。
また、喜ばないまでも、昨日の今日で返事をしてきた部下に対して、反応しない訳にはいかないでしょう。
上司は、メモ(絵図)を手に取り、余白に、
「これはイメージ通り」
「これは違う」
と、朱書きを入れていきます。
そして、朱書きしながら、上司自身も自分が思っていることの矛盾点等にだんだん気づき始めます。
そう、これこそが上司の机に、わざとメモ用紙を残す真の狙いですね。
指示した側は、ふわっと物事を考える、考えざるを得ないので、指示した内容の具体的な部分の矛盾に気づかないのです。
どうすればいいかなと考えながら、あなたのところにやってきて、朱書き訂正した絵図を返しながら、意見を求めてきます。
上司「さっそく読ませてもらったよ。
でも、この部分が難しそうだな。」
部下「ああ、自分もそれを思ってました。
それで、考えたんですけど、それってここの部署の得意分野でしょうから、そこにお願いしませんか。
上司「なるほど。
私も先方の上司に声をかけておきたいから、準備ができたら声をかけてください。」
紙一枚で認識を共有化できるから話しやすい。
これが認識を共有化していないうちに、つまり最初の時に、
「色々問題があります」とか、
「実現不可能ですよ」なんて言ってしまうと、
上司から、
「そもそもやる気がないのではないか」
と捉えられかねません。
「絵図」は簡単なイメージ図ですが、指差しなど認識を共有化できるので、ここで始めて上司と有意義な議論することができるというわけです。
そして、こういう絵図がないと、上司と難問であるという認識を共有できず、問題が生じた場合、上司は、
「あなたに任せていた」
と言って、自分一人で解決しなければならなくなります。
ですので、こういう雛形がないものほど、
- 着地点をどこにするのか、
- そのためにどういう障害があり、
- それをどのように解決するのか。
という上司との議論は重要というわけです。
次に「下書き」してみよう。「下書き」とは、ボールをゴールに入れる作業―論理的に結論まで導く作業―のこと。
さて、これでOKがもらえたら、次は、下書きに移ります。
「え、さっきのは下書きですらなかったの?」
と思われるかもしれませんが、そのとおり。
仕事を無駄なくこなすには、
相手の意図するところを正確に読み取ること障害はどこにあるのか把握することです。
これが大変重要であって、ここがずれてしまうと、全部やり直しになるか、無理な方向修正をする破目になりますから、提案書の企画書の書き方、スキルどうのこうのいう前に、しっかり押さえておくべきです。
さて、下書きですが、工程の骨子を作る作業になります。
さほど難しいものではありませんが、助言しておくと、現地へ行くと閃くことが多いですね。
企画書には色んな形がありますが、例えば、こんな構成があります。
- 概論(結論)
- 現況(問題点)
- 実態(市場調査)
- 分析(原因究明)
- 方策(解決方法)
- 成果(果実)
今回は、「書き方」ではなく「進め方」というテーマなので、詳細は省略します。
さて、ここでもスピーディにこなしていきましょう。
どうすればスピーディにできるのか。
具体的には下記のとおりです。
- 表を作っても、グラフを作ってはいけません。
- 現地を確認しても、写真の添付は不要です。
- 資料を参照しても、言葉を引用しても、参照元や引用元の記載は上司からOKを貰った後のことで、この段階でするべきではありません。
ここで大事なのは、結論までの道筋がきちんと論理的であるということ。
きちんとボールをゴールに入れることができるか、ということです。
論理的に、パスを繋いでいき、狙った通りにゴールに入れるかどうかが重要であって、ゴールする確率を高めることは後回しにすべきです。
だいたい、A4サイズの紙2枚(両面)くらいでまとめられればいいでしょう。
先程の「絵図」が余白だらけのことを考えれば、その3倍くらいの量にはなっているはずです。
A4サイズの紙2枚といえばそれなりの量ですが、表もあるし、完成図は先般上司と認識の共有化が図られていますから、実質的には、先程話し合った議事録のようなもので、上司も読みやすいはずです。
清書とは、フォントの整理やグラフ・写真を張り付けていくこと。
この下書きにOKを貰えれば、いよいよ清書に取りかかりましょう。
どこまで細かいところまで書くべきかは企業文化もあるでしょうから、最終的な文書量はそれに添うようにしてください。
文書量を増やしていくのは、意外に簡単です。
先程省略したことを記載し、見やすくさせていくだけです。
- 余白や見出しのフォントを整えましょう。
- 表はグラフにしましょう。
- 現地写真を取り込みましょう。
- 参照資料には日付を、引用には出典など、きちんと記載しましょう。
- コンセプトやターゲットを明確にし、アピールポイント(強味)を作っておきましょう。
これで完成です。
いかがだったでしょうか。
企画書や提案書の書き方・作り方については、ネット上でもよく紹介されていますが、「進め方」についてはあまりないように思いましたので、ちょっと記述しておきました。
仕事で悩んでいる方の参考になればいいなと思っています。